ドラえもん危機 特別編
〜国家の権利〜

ミサイル研究所さん

 

第一節

言語良化法の公布及び施工の一年前、当時まだあのいかれた総理がただの野党の党首だった頃

憲法が大きく改訂された。

それは九条の変更である。

これには報道・野党(もちろん愛国党は除く)から一大バッシングが起案の時から酷かった。

過剰報道や個人攻撃などは熾烈を深め、自殺者も当時の与党から出た。

だが、報道はここで自爆し、結果的にあのいかれた男を総理の役職まで持っていくこととなった。

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「では、現在問題になっている九条の改訂についてです」

いわゆるニュース番組のスタジオで神妙な顔をしたアナウンサーが
さも嫌そうに言った。

「まずは平和団体代表の方からご意見をいただきます」

言われた先に座っている中年の上品そうな女性が頷いて話し始めた。

「この九条の改訂は周辺諸国への明らかな侵略意思の現れであり、

日本をまた軍国主義国家へと戻す戦争好きの陰謀です。

日本が軍国主義の間やったことはみなさんも義務教育課程で習いよく知っておいでのはずです。

南京では三十万人もの一般市民の方を虐殺し、朝鮮半島では暴虐の限りを尽くし、

さらには強制連行・従軍慰安婦で虐待の限りを尽くし、

バターン死の行進ではジュネーブ条約に違反して捕虜の方々を殺していった。

特に悪いのがA級戦犯です!

彼らが自分勝手にアメリカや中国、東南アジアの国々を戦争に巻き込み迷惑をかけました。

特に中国や韓国の方々の遺恨は深く、未だに謝罪と賠償を求められている状況です。

この改訂は明らかにまた戦争をして周辺の国を困らせることが目的です!

我々はただ謝罪と賠償を誠実にし、何があっても武力行使をすることなく平和を希求すべきです!

日本をまた暴虐の限りを尽くす国にしないためにも九条を変えることだけはしてはなりません!」

アナウンサーやコメンテーターは目に涙を浮かべ、当の女性はすでに涙を流している。

だが、改訂賛成者の代表として呼ばれて男は泣くどころかいびきをかいていた。

アナウンサーはそれを見ると怒ってその男を怒鳴りつけた。

「あなたはなぜこの話を聞いて寝ていられるのですか!

あなたみたいな人がいるから世界から戦争がなくならないんです」

男はだるそうに目を開けて言い放った。

「そんな使い古された話を聞いても眠くなるだけです。 しかも、ただただ一方的に話を並べるだけで感情論でしかありません。

歴史を歪曲して話をするのはいただけませんね」

アナウンサーはより大きく目を開き言ってはならないことを言った。

「貴様みたいな人間の屑がいるから戦争は起こるんだよ!

武力さえなければどこも戦争は仕掛けてこないし、しかも、徹底された平和主義に感銘を受けた他国が平和主義路線をとるかもしれない。

親は悪いことをしたら謝りなさいと教えたくれたのだから謝るのが普通だろう?

それに歴史教育を疑うのは頭のいかれたあんたらみたいなのがすることだ!

いいか!俺たち日本人はただ謝罪と賠償だけにすべてを捧げればいいんだ!

歴史を見直すのももってのほか!

とくに相手の国が武力行使をしてきたら自衛隊には抵抗せずに犠牲になってもらって、

要求をただのみさえすればいいんだ!

自衛隊なんか全員が貴様みたいな屑なんだからそうしてみんな死んじまえばいいんだよ!

とにかくだ、九条を改訂することに賛成の奴らはみんな価値は無い!

賛成の奴らは貴様も含めて頭がおかしいゴミカス連中なんだよ!

分かったか!」

アナウンサーはすべて言い切った時点で失言が過ぎたことを知った。

だが、もうすべてが遅かった。

テレビ局には苦情の電話が鳴り響き、ホームページはハッキングされ、

地デジ放送のデータ連動までもが乗っ取られ文章を変えられた。

もはや精神状態が不安定になってしまったアナウンサーに止めを刺したのは

彼が罵詈雑言を浴びせた男であった。

「私の人権を酷く損なったばかりか、多数の方々に対して取ったその行動はとても看過できるものではありません。

訴訟を前提に考えさせていただきます」

そこで番組は突如終了し、CMが流れ始めた。


その番組を見ていたのび太がドラえもんに言った。

「ドラえもん、あんまりに酷いね」

「そうだね。国のためを思っている人もいるのにね」


第二節へ続く

 


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