まぬけすぎた悪魔

バニーボーイさん

 

「はじめまして、え〜古畑です〜。皆さんは〜絵を書くときありますか?
しかし、白い画用紙に白の絵の具を塗ってもほとんど見えません。黒い画用紙に黒い絵の具もそうですね〜。
そして、赤い画用紙に赤い絵の具をつけても・・・」

7時30分

いつもと同じ朝、いつもと同じ目覚ましのベル、いつもと同じドラえもんの声は・・・ない。
中学になったとともに風のように消え去った。
ひとつだけ秘密道具を置いてくれた、どこでもドアを。
今日は月曜で、ジャンプの発売日だ。

8時5分

今日は遅刻せずにすみそうだ。(中学生始業式にも遅刻しそうになった)
小学校を卒業して、中学校の一年の終業式も終わり・・・中学2年の7月の月曜日。
のび太の頭は小学生のころと変わりなく悪かった。1年の中間では平均11点という結果に終わった。
しかし、そんなことはどうでもよいのだ。

ドラえもんが未来に帰ってからジャイアンのいじめはひどくなった。
便器に顔面を突っ込まれたり、体育館に閉じ込められたり、タバコを無理やり買わされたり(今は大丈夫だが・・・)
さらには金をいつも巻き上げられていた。

その額3万円ほどあるだろう・・・1年のころはクラスも校舎も違ったので、まだましだったが、2年になってクラスが一緒になったのだ。
そのせいで、殴られるのはいつものこと、めがねは1ヶ月に一回は割られる始末。
さらに購買のおつりを200円ほどあまらせてあげなければならない。

そして、ジャイアンの結成したグループに集団リンチもしばしば、みんなにも見てみぬ不利をする。
いじめの対象と友達だったら自分もいじめられると思ったんだろう。
そして、静香ちゃんまでも遠ざかる。

何が原因だ?

ジャイアンだ。

ジャイアンさえ…

ジャイアンさえ殺せば…

今日で、これで、

すべてを終わらせる。

この銃で。
決意はついた。
武器も補給完了!トカレフ(ようするに拳銃)だ。弾は自作した。わざわざ買うほどのこともなかったからだ。
後は実行に移すだけだった。

15時30分

キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン

「今日、今週号のジャンプを買ったんだけど、この前読ませろって言ってただろ?」
「そういえば…そんなこと言ってたな、いいだろう帰ったらすぐお前の家に行く」
そういうと、ジャイアンはダッシュで家の方向に向かって行った。
「かかった」
そう言い、スーパーでジャンプを買い、家に向かった。

15時35分

ピ〜ンポ〜ンと言うインターフォンの音が鳴り響いた。
今日はのび太の家は一人だ。

「ちょっと居間で待ってて」
そう言いのび太は2階の部屋に上って行った。ジャイアンは居間であぐらをかいて座っている。

「なあ、何で新聞紙しいてあるんだ」
「まあいいじゃないか。はい」

のび太は今週号のジャンプを渡した。ジャイアンが受け取ると、いきなりのび太はジャイアンのわき腹を思い切りけった。
もろ蹴りを受けたジャイアンはウォ!と小さな悲鳴を上げる。

「立てよ、ブタ」
その瞬間、ジャイアンは何も言わずに近くにあったビンを持ち思いっきり殴りつけた。
そのときのび太の頭からでた血がジャイアンの服についた。
のび太にとっては最悪のミスだ。

クソッ余計なことしなけりゃよかった。
ほんの1,2秒のことだったが、のび太の作戦は失敗直前にまでずり下がったのだった。

「の〜び〜太〜よくもやってくれたな〜?」
その瞬間をのび太は逃さない。のび太は尻ポケットに隠し持っていたトカレフを構えた。

ジャイアンはとまった、みるみるうちにジャイアンの顔が青ざめる。
「の…のび太……お前…」

撃った。

今更だが撃てるかどうかが問題だった。
爆発するだけとか鉛はこげくずになって飛び出ただけとかないか

しかし、思ったよりネットは使えるもんだ。
見事に飛び出た鉛はそのまま心臓をえぐった。

そして、後ろに吹っ飛び、壁にたたきつけられたジャイアンはそのまま前に倒れた。

見事だった。

これほどうまくいくと思ってなかった。
最悪そこのつぼで殴るとかナイフで刺すとかあったが見事に命中した。

間違いなく死んでいる。
出血量も少ない。銃弾も貫通していないから壁に刺さってない。
後は換気扇と掃除機をかければ硝煙反応もないだろう。

砕け散ったビールのビンと・・・のび太は自分の頭の傷に気づいた。
くそ、どうやって言い訳しよう・・・どっかでぶつけたって言うか。

さすが野球部。
後は血は畳にはしみこんでいなかった。新聞紙をしいててよかった。畳だから血がしみこんだら一巻の終わりだ。
さてと、最後の作業だ。

ドラえもんが残した道具・・・どこでもドアで。

このどこでもドアは、一回しか使えないし3キロ以内までしか通じないので、今日までとっておいた。
「スネ夫の家」
そういうとドアがスネ夫の家の裏庭につながった。
そして、庭にジャイアンの死体とトカレフを放り込んだ。
「じゃあな」
そう言うとゆっくりドアを閉めた。

注)え〜、私は銃のことはあまり詳しくありませんので、自作で弾を作るのは不可能とか、そういうのはスルーしていただきたいです。

 

15時42分

「は〜あ、ゲームも飽きたな〜、そうだ! スネ吉兄さんにもらったポルシェのプラモで遊ぼう」
そう言うと、自分の部屋からポルシェのプラモを取り出し、庭に走った。
そして、庭に置きポルシェを走らせた。

「はははははははは! すごいな〜やっぱ9ポルシェは速いな〜、この庭でさえ狭いくらいだよ!
 外でやろうかな。いや、どうせジャイアンにとりあげらるだけだ」

無論、もうジャイアンはこの世にいないが…。
それからしばらく走らせた時だった。ふと、裏庭の方に池があるのを思い出した。

「そういや〜、なぜかこのポルシェ水陸両用だったんだ、ちょうどいいや池で走らせよう」
そして、ポルシェを持ち、裏庭に走った。
その3秒後。
スネ夫の家から、とんでもなく大きな悲鳴が聞こえたのは言うまでもない…。

15時50分

裏庭に大量の警官があふれていて、スネ夫は刑事に取り調べをうけている。

すると、ある一人の黒いコートを着て自転車で現場に来た警部補が現れた。
それが、古畑警部補であることも言うまでもない。

「あ〜嫌だ嫌だ、最近事件が少ないと思ったらすぐこれだよ」
「まったくですよね、古畑さん」
一足先に来ていた古畑の部下である今泉が答えた。
「んで、状況は?」
「えっと、ちょっと待ってください聞いてきます」
「聞いてなかったの?」

古畑は、ペチッと今泉のおでこをたたいた。
「もういいよ、君はテキトーにしてて、西園寺君」
古畑はもう一人の部下を呼んだすると、ちょっと背の低い男が現れた。

「現場の状況教えて」
「被害者は中学生で、エースストライカーの剛田武君です。
 死因は見事に心臓撃ちぬかれ、射殺されたようです。
 どうやら、これはプロの犯行でしょう、使われた銃はトカレフで、現場に落ちていました。
後、弾丸は自作されたものです。花火の火薬などで作ったようです。

そして、容疑者はまだ断定できませんが今骨川スネ夫君から話を聞いています。スネ夫君の親は至急来られるようです」

古畑は、こめかみに人差し指をあて、

「う〜ん、ちょっと犯行に使われた銃を見せて」
と言った。すると、西園寺が銃を持ってきた。

「ちょっと、拝見」
古畑は銃のマガジンを取り出した。

「被害者は、何発撃たれてた?」
「一発です」
「う〜ん、マガジンから弾とった?」

「いや、最初からその状態です。…なにか気になる点でも?」
「たぶん彼は白だね」
「そうですよね、まさか中学生が殺人なんて…」
「そこじゃないんだよ」

古畑はマガジンに指をあてた。
「マガジンには、最初から一発しか入ってない。なぜ一発しか入っていなかったか?

なんだよ、これほどの大きな家に住んでるんだったら、かなりの大金持ちだ、だったら弾ぐらい買えるだろう。
それ以前になぜ弾を自作したのか?

弾ぐらいなら彼なら買えるはずだ。つまり、お金がなかったんだろう。だから、犯人は考える点では中学生が犯人だろう。

いやな世の中になったもんだね〜、中学生が中学生を殺すなんて…

どうやらこの事件は裏がありそうだよ」

古畑の推理はいつもと変わりなく迫力があった。

「しかし、じゃあどうやってこの家に死体を運んできたんでしょうか…あいにくここはよく人が通ります。」
また古畑はこめかみに指をあてた。

「そこなんだよね〜……とりあえず被害者の友好関係洗って」
「はい」

16時

ある一人の少年がドアを粗大ゴミとして捨てた。

「あの〜、失礼ですがあなた中学生ですか?」
その少年、のび太は勢いよく振り向いた。
「…なんでそんなこと聞くんですか?」

「失礼しました、私こういうものというんです」
古畑は警察手帳を出した。
のび太は特に驚いた様子もなく言った。

「警察がなんのようですか?」
古畑は驚いた様子で
「あれ?…知らないんですか? 実は…殺人事件がおきたんですよ」
「ははは、冗談はやめてくださいな」
「いや、冗談なんか言ってませんよ、てっきり知ってるのかと思ってました。だって、かなりパトカーファンファンいってましたよ?」
のび太は、古畑にわからないように舌打ちした。

「寝てたんですよ」
「そうですか〜、あの〜本題に入りますね、あなた中学生ですよね?」
「そうですがなにか?」
「それでですがね殺されたのは…なんと剛田さんなんですよ」
はたまたあまり驚いた様子もなく答えた。
「そうですか、あいつ殺されちゃいましたかあのエースストライカーがね〜……誰に殺されたんですか?」

「はい〜、まだわからないですよ一応発見されたのはスネ夫さんの家なんですが、
私はスネ夫さんは巻き込まれただけだと思うんですよ」

「なんでですか?」
「弾が自分で作られているんですよ〜、彼は大金持ちなのになんでわざわざ作ったんでしょう…
それにさっきみたんですが、貯金から最近お金は下ろされていません。

銃を買うためにはかなりの財産が必要なので、貯金をしていたとすると…はい、たしかに貯金はしてありました!
しかし、おろされていないんですよ〜、ねぇ、不思議でしょ?」

「なるほど、それは不思議だね」
のび太は余裕たっぷりといった。
「まだ話はつづくんですよ、そこでですね、中学生で剛田君の友達を調べることにしたんですが…
よろしければ、あなたの家に行っていいでしょうか」

今度こそのび太は本気で驚いた。

「いきなりですか? それはちょっとおかしくないですか?」
「普通ならあまりこういうこともしないんですが……ちょっと拝見するだけですので…本当に2,3分です」

(ここで無理に断ったりしたら逆にうたがわれる可能性があるな)

「わかりました」

 

16時3分

「ところで〜、そのおでこの傷は?」
「えっ?、…階段で頭を切ってしまったんです」
「そうですか、お大事に」
「はい、ここが家です」

そして、古畑とのび太は家に入った。

「ちょと、指紋取らしていただきますね」
「いいですよ」
しばらく、古畑は指紋を取った。
「いや〜、指紋取るなんて…実は初めてなんです…いつもは部下任せなんですが見事に取れました。
えっと、この少年ジャンプですね〜

んふふふふ、今日剛田さん家に入れました?」
「いえ、今日は学校で以外あってませんよ、そのジャンプもこの前ぼくが読ませてあげたものだと思いますよ」
「そうですか〜、それはよかった、あなたは犯人ではありませんね」
「なにを今更」

古畑はゆっくり階段をおりた。
「それでは、今日はこのへんで」
「もういいんですか?」
「はい、結構です」

古畑は、またゆっくりと歩いて帰って行った。
「ふぅ、スネ夫が犯人じゃないとばれるのは想定外だったが…証拠は何も残してないし、大丈夫だ!」

16時30分

「あ〜あ、疲れた、なんで私がこんなことをしなくちゃならないんだよ、」
「しかたがないじゃないですか、古畑さん、人手が足りなかったんですよ、あっそうそう、西園寺から電話来てましたよ」

「はいはい、西園寺君?なんかあった?……そう、……やっぱりあの少年か……いや、いい私と今泉だけで行く、じゃあ」




「今回の犯人は、やはりのび太君でした。
彼が、剛田君を射殺してたんでしょう、それに彼の射的は天才的でした。
しかし、ある余計なことをしたばっかりに、せっかくの計画がパアになってしまったんですよ、その証拠とは…古畑任三郎でした。」

解答編に続く!

 

あとがき的なもの

これ書いて一言、疲れます。
小説自体が疲れるけど探偵ものだから余計にです。皆さんは、証拠が見つかりましたか?
これは証拠ではないのでは?と、思うかもしれませんが一応探してください。

 

解答編

17時

ピ〜ンポ〜ン

しばらくしてドアが開いた。

「古畑さん?」
「ご無沙汰しています」
「どうぞ」

そういい、のび太は半分開いたドアを完全に開けて、廊下に案内した。

「なにか、面白いことでもありました?」
「……あなた、ここで殺したんですか?剛田君を」
「……面白いことを言うね、なんで僕が殺さなきゃならないんですか?」

「とりあえず、動機はおいておきましょう、まず簡単なご説明をします。
あなたは、剛田君を呼び出し、射殺しました。 この家で」

のび太が茶化すように言った。
「ずいぶん唐突ですね、じゃあ証明してもらおうか、ジャイアンがこの部屋に来た証拠を」
「んふふふふ、これです」

古畑の右手にジャンプが握られていた。

「これ、いつ剛田君に読ませたんですか?」
「この前ですよ」
「この前っていつですか?」
「金曜だったっけな〜」
「残念ながらそれはうそです!なぜならば、これは今日発売の物だからです」

「……剛田君が家に帰って殺害されるまで、あなたの家に行っていたんですね、いや〜初めて指紋とってよかったです
どうしてうそをついたんです? その理由は簡単、殺していたからです」

「……たしかに僕の家に来ていた、しかしそれは僕が殺したという証拠にならない」

「証拠ですか〜実はそれがね…あるんですよ」
古畑はコートの内ポケットに手を伸ばしある一枚の写真を取り出した。

その写真は紛れもなくジャイアンの死体だった。

「この赤く染まった剛田君の服、この赤い液体は何だと思います?」
「血でしょ、どっからどう見ても」
「はい血です、では誰の血でしょうか!」
「…ジャイアンのでしょ?」

「正解!……ですが、実はもう一人の血も混じっているんです」
すると、古畑は居間を歩き回った。そして、ゴミ箱からビンの破片を取り出した。

「これですね、これであなたは殴られた。死体に、小さなガラスの破片がついてたんですよ。
そして、あなたの血痕も…剛田君の血で、あやうく鑑識もわからないところでした。

血も、ほとんど同時だったんですよ、乾き具合がです。つまりあなたが殴られた直後に射殺されたと言うことなんです、
ということは、あなた以外殺せる人間はいないのです。

え〜わかっていただけたでしょうか」


「すごいですね、たった2時間足らずで事件解決とは…」
「いや〜、しかしのび太君、君がまぬけすぎたんですよ」

「こんなにまぬけなんて前代未聞でしょ」
「安心してください、私もかなりまぬけな犯人を見てきました。日本人をスペイン人と間違えてしまう人、
水さしをカビンと思ってしまった人」

「それを聞いて安心したよ、ところでスネ夫の家に運んだことは聞かなくていいんですか?」
「……正直に話していただけますか?」

「いいですよ、後でゆっくりと」

「ありがとうございますじゃ、いきましょう」
古畑が右手を差し出した。


チャッチャ、チャチャッチャッチャッ、チャチャッチャッチャ
チャチャチャチャチャチャチャチャチャチャー

古畑の曲みたいになってるかな?

 

え〜、小説ド素人が書いた推理物ですがどうだったでしょうか。

できれば出木杉が静香を殺すや、ママがパパを殺す などを書いていきたいです。

 


 

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